ひとは価格を買っている
- 2007.02.26.Mon
いらっしゃいませ。こちらはキヤマル・ハンバーガー店です。
ちょっと心理テストをしてみましょう。

4種類のハンバーガーの中から、どれか好きなものをひとつ選んで買ってください。お金はだいじょうぶですか。価格はみんな違うのでお財布とよく相談してください。
え、ゴマが嫌い? どうしてもダメなら、ゴマなしバンズに換えてもらえることにしましょう。チーズを抜いてくれって? 抜いてもらっても、値段は変りませんが、それでもよければどうぞ。
さて、どれにするか決まりましたか?
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ちょっと迷いましたか? それとも、すぐ選べたでしょうか?
気になるのは、何が選ぶ基準になったかです。このテストをするとき、たまたまお腹が空いてなかったとか、所持金が少なかったとか、いろいろ左右される状況はあると思います。
食べられない食材があるとか、画がどれもまずそうだナーとかってのもありますね。ちょっと迷ったというひとは、何を迷ったのでしょうか。
では次のテストです。

ハンバーガーの種類は変りませんが、今度は価格が違います。4種類どれを買ってもおなじです。これで迷う必要はないですね。どれでもおなじ値段ですから。
それではもう一回、選んでみてください。
…さっきと選択は変りましたか? それとも同じものを買うことにしましたか?
チーズバーガーを買うと損ですよ。もともといちばん安かったんですから。チキンバーガーにする? 一番高級なトマトサンドだって同じ値段なのに!
お店のことは心配しないでください。机上の理論では一見損しないことになってるんです。
乱暴に計算して、低価格のものほど数が売れるとしましょう。
(140×4)+(180×3)+(200×2)+(260×1)=¥1760
10個売れたときの合計は¥1760です。¥190均一のときなら合計¥1900でしょ? 原価とかも考慮しなきゃいけないわけですが、まあ売り上げは大きく変らないんじゃないですか…
…と言いつつ、私は価格差がなくなったときのほうが選びにくくなったと思います。消費者心理ってこういうことなのでしょうか。価格が同じになったなら、「トマトサンド」を買わなきゃ損した気になりますもの。もし鶏肉が食べたいなあ、と思ってるならチキンを買うのが一番満足が得られるはずなんですが。キャンペーンとかでいまがオトクとか言われると、ついなびてしまいます。
でも、高いものが一時的に値下げされているならともかく、全品一律が常態だったとしたらどうでしょう。
価格で悩む要素がなくなったのだから、あとは好きなものを選べばいいわけです。ところが選びにくいんですな。そう考えると価格付けって言うのは、原価がどうこうって言うよりも、まず購入の意思決定を誘導するためにあるんです。
電気製品が上位と下位機種が揃って出されるのも、上位機種のスペックで「この商品いいなあ」と思わせて、でもちょっと高いよな、と感じたところへ、お手ごろな価格帯のもありますよ、下位機種を提案する。それによって相対的な安さを印象づけられます。
それもあまり価格差がありすぎてもよくないんです。下位機種でここまで払うなら、もうちょっと奮発すれば上位機種に手が届くなあ、と心理的ゆさぶりをかけるのが絶妙な価格設定です。
今日は奮発して高いのを買うぞ、とリッチな気分になったり、安いのを選んで節約できた、オトクだったと感じたり。「選ぶ楽しみ」と言うのもありますよね。いい買い物をしたとか、買い物上手とか。価格の上下、どちらでも「満足感」は与えられます。
ひとは「価格”で”買っている」んじゃなくて、「価格”を”買っている」のかもしれません。
[関連]「もしドナルドが100人の群れだったら」
/ ひとは価格を買っている (update:May 6, 2007) ▲
